そこにあった日常は、日常でなくなり、違う日常となった
そこにあった幸せは、幸せでなくなり、違う幸せとなった
生き残った喜びは、喜びでなくなり、生き残った哀しみになった
未来を見つめる目は、希望ではなく、憂いを見つめている
一体何が起きたのか、何が起きているのか
私たち、フクシマの人間は、いまも心が折れたままで現実の中を彷徨っている
会津・福島の新しい観光資源の一つとして平成24年度に初演を迎えるはずだったオペラ〜白虎〜。しかし東日本大震災と福島第一原発事故をきっかけにその意味も意義も大きく変わることを余儀なくされてしまった。
日本の中近代史の中で会津・福島は二度、その歴史に大きく関わっている。一度目は上杉治世の江戸時代の始まり。そして二度目は明治時代の始まりだ。
こうしてみると会津・福島は不思議なほど日本の国家としての転換期に関与している。そして、いま…。
日本の国家としての三度目の転換期が今であり、そしてそれが私たち会津、フクシマに課せられた運命だとするなら、この三度目も私たちは受け入れなければならない。
その証明(あかし)として、オペラ〜白虎〜が存在するのだと、いま、私たちは思う。
生きるとは何なのか、命とは何なのか、家族の絆とは、人の絆とは、慈しみとは、思いやりとは、人間とはいったい何なのか。
フクシマは、今世界で一番有名な日本の地として、原発事故の地として、何らかのメッセージを発信し、送り続けなければならない。
これはフクシマに届いた天の声、天命なのだと強く感じる。
大地震と原発事故へ、人間の尊厳へ、地球へ応えるため。
何より福島の人々の誇りのため。
オペラ〜白虎〜は、日本の未来への、人間の未来への財産として、そしてバラバラにされてしまった福島の人々のこころをひとつにするため、いま、生まれなくてはならないオペラ作品なのである。
皆さんこんにちは!指揮者の佐藤正浩です。
現在は今年7月28日(土)会津風雅堂初演を目指し、オペラ「白虎」に全力を傾け取り組んでいます。
宮本益光(台本)、加藤昌則(作曲)によるこのオペラは、我々日本人が知るあの悲しい歴史的事実を軸に、「生きる」「命」を語りかける美しくも力強い力作です。
今まで僕がヨーロッパ、日本で経験してきたもの全てを結集して、現代最高の舞台芸術にしたいと思います。
どうぞ皆さん、会津においで下さい。7月の会津は熱いですぞ!!!
2018年5月吉日 佐藤 正浩